2014年12月17日水曜日

【自主練】透明水彩の練習

ご無沙汰しております大崎です。
今回は個人的に水彩の練習をやりましたので紹介します。

私が透明水彩を使って絵を描くのは5回目くらいなので、専門的に言うと間違っている部分も多々あると思います。そこはご容赦ください。
位置づけとしては初心者による初心者のための水彩講座という感じで、同じく水彩をやっている部員と技術交換できたり、他の部員たちにも興味を持ってもらえたりすれば御の字です。


さて、先に完成した絵から見てもらいましょうか。その方がイメージを掴みやすいと思いますので。なおデジタル処理で少しコントラストや彩度の補正を掛けています。

0.用意するもの

『取りあえず必要なもの』
■水彩用紙:表裏があるので注意
■透明水彩絵の具:今回はホルベインの24色。透明水彩は持っている色が多い方が圧倒的に良いと思います
■筆:色々な太さがあると良いです。できればハケも
■パレット:でかい方が使いやすいです
■水桶:2つに分かれている奴じゃなくても大丈夫です
■ティッシュ:筆の水分量を調整したり乗せすぎた水を吸ったりするのに使います

『あると便利なもの』
■画板と水張りテープ:水張りするのに使います(後述)
■ドライヤー:乾くのが待てないせっかちな人向け
■パソコン:資料を開いたりデジタル作業したり音楽を流したりするのに使います

1. 下書き

まず線画を大まかに書いていきます。今回はデジタルで線画を描いてからそれをトレースする方法にしました。
デジタルペイントツールで水彩用紙と同じサイズのキャンバスを開き、そこに人物と背景を描きます。今回のようにパース線を描く場合はデジタルの方が楽です。あと水彩用紙は消しゴムを掛けると表面が傷むので、何度でも修正できるという点でもデジタルはおすすめです。


たまには人物メインの絵を描きたかったので、真ん中にドーンと人物を置きました。私自身、水彩で人物を描くのは初めてなので、かなり練習的な要素が強くなっていると思います。

背景は大学の構内にしました。除雪して真ん中に出来た道に2人の女性が立っている感じです。(この絵はまだ雪が降っていない頃に描いたものですので雪は想像で足しています)
背景を描く場合はできるだけ現場に行って取材をするようにしましょう。結構大事です。

完成した下書きを水彩用紙にトレースします。今回は画面が単調にならないように線画を反時計回りに2度くらいアングルさせてみました。

2.下塗り

機材の関係で画板を使った水張りはしていません。スケッチブックを下敷きにしてそのまま描いています。水張りをやりたい人は来年の予算で板を買ってください。
まずハケを使って全体に水を塗ります水たまりにならない程度に万遍なく塗ります。斜めから写真を撮ったので水でテカっているのが判ると思います。


水が乾かないうちに下塗りをします。光源(今回は右やや手前)を考慮して光が当たる部分は黄系、陰になる部分は青系の色を置きます。下塗りは勢い重視で大きめの筆を使ってガシガシ塗っていきます。
今回、雪の部分は基本的に無色ですが陰影は水色で塗りました。少し変化をつけるために緑っぽい色も混ぜています。そのまま素直にグレーで塗っても良いのですが、個人的には印象や抽象も大事にしたいので実際と違う色もバンバン使っています。


既に分かるように水張りをしていないので紙が撓んでいます。最後に直すので大した問題ではありませんが、描きづらいという人は水張りした方がいいと思います。

3.肌、地面の塗り

塗りは基本的に色の薄い順に進めます。ただし今回はスピード重視で(色が滲まないよう)隣接していない箇所を飛び飛びに塗っていったので、必ずしも薄い順ではありません。

顔の色は髪の毛の領域に若干被るように塗っています。こうすることで顔の周りが明るくなり、後で髪を塗った時に単調になるのを防げます。デジタルでも似たような技法がありますね。ついでに手も塗っておきます

ちなみにホルベインの24色を買うとジョーンブリヤンNO.2という肌色っぽいのが入っているので殆どそのまま使えます。この色は裏に危険マークがついていて、カドミウムとかが入っているらしいです。透明水彩は子供用の水彩と違ってヤバい物質も普通に使っているので、間違って口に入れたり目に入れたり××に×したりしないよう気を付けましょう。


地面は黄土色っぽいタイルなので、先ほど使った肌色にグレーを混ぜて、最初に使った黄色と混ぜながら塗っていきます。暗いところほど黒を多めにする感じです。
水彩絵の具は水の量を増減させることで隣の色と混色させたり、色を偏らせたりできます。この地面の場合、塗った絵の具が少し乾いたくらいで次の色を置くことで色を滲ませています。

4.遠景1

次に塗れそうな場所が遠景くらいしか見当たらなかったので色の濃い部分ですが塗りました。茶系統の絵の具をいくつか出して、何種類か色を作っていきます

濃い色は苦手なので正直かなりええ加減に塗っています。遠景なのに色がぐちゃぐちゃした感じになってしまったので、もう少し水を多めにしてシンプルに(色の変化を付けずに)塗った方がよかったと思います。

5.髪の毛

飯食ったりしている間に絵が乾いたので、どこでも塗れる状態でした。先ほどせっかく茶系色を作ったので次は髪の毛を塗りました。ここで構図をミスったせいで髪の毛と遠景の色が被りまくっている事に気づきましたがもう遅いです。

髪の毛は髪束を意識しつつ、多少グラデーションっぽく色の変化を付けながら塗ります。首回りなどは陰になっているので暗めに塗ります。
また水彩ではハイライトは上から明るい色を塗るのではなく、「塗らない部分」を上手く使う必要があります。うっかり塗ってしまった場合はすぐに水を足して、塗ってしまった絵の具を溶かしてティッシュで吸うことである程度は修正がききます。

6.服1

左の面長の女性の服を塗りました。


上着は青と黒で紺を作って塗ります。スカートは赤系ですが手持ちの色で深みのある赤を作れずガサガサした感じの赤になってしまいました。ストッキングは殆ど黒ですが少し茶色を混ぜています。明るい部分と暗い部分で多少変化を付けましたが、もう少し極端に陰影をつけるべきでした。

7.遠景2

次は窓ガラスを塗りました。もう少し反射光とかを複雑に描いてもよかったのですが今回は時間の都合もあって省きました。
あと塗っている途中で、先ほど塗った茶色の壁の手前側が明るすぎると感じたため(既に光源管理がガバガバ)少し黒っぽい色を足しました。

8.服2

今度は右側の女性の服を塗ります。前に作って余ったグレーにこれまた余った赤を少し混ぜて使います。服が撓んでいる部分などは色を抜いて表現します。少し水を多めにすればその部分の絵の具は流れてくれます

ここで問題発生。塗りをミスってティッシュで吸いました。何故ミスが起きたかというと袖と裾の境の線画を写し忘れていたために、気付かずに同じ色を置いてしまったからです。
本当は色→照り返し→色→照り返しと4層に塗るべきところ、予定を変更し陰→色抜け→陰の3層にしました。まあこれはこれでアリかなという事で。


先のミスで土手っ腹を乾かしている間にシャツとその陰、さらに顔や手の陰も塗りました。
陰影を塗る場合は下地の色がしっかり乾いているのを確認してから塗りましょう。



ホットパンツ的なズボンはこげ茶っぽい色で塗り、ストッキングは黒に微量の青を混ぜて塗っています。
ストッキングの明るい部分と暗い部分は服の陰影と違ってボヤっとしているので、全体を塗った後にやや多めの水を足してみました(後述のブーツはやや少なめの水)

9.服3

ブーツを塗ります。二人のブーツの素材の違いで微妙に塗りを変えてみました。右の黄系のブーツは明るいところは明るい色、暗いところは暗い色で塗るという普通な方法です。
一方、左の茶系のブーツは一旦濃い色で全体を塗っておいてから、明るくしたい部分に水を含んだ筆を走らせて絵の具を移動させています。こうすることで簡単に水彩境界を作ることができます。


ついでに最初の下塗りでしくじっていた右下の雪の陰影を塗り足しています。

10.服4

服の細部を塗っていきます。ぼやっとした部分とはっきりした部分は大抵水の量で描き分けることができます。

11.目

人物の目を塗ります
まず黒目の一番濃い部分の色を決めます左の女性は黒系、右の女性は茶系にしました。


そしてハイライトに当たる部分を塗りつぶさないよう細い筆で慎重に塗ります。絵の具の比率をやや多めにしておきます。
そして今塗った黒目が乾く前に、目の中心に水を足してティッシュで吸います。こうすることで黒目の輪郭に近い側を濃くし、中心に近い側を薄くして目に透明感を与えることができます



同様にもう一人の目も塗って、眉や睫毛の線を塗り足しました。このように色を強めに出したい部分は水を少なめにします。

12.傘

正直傘の色は悩みましたが、傘自体が絵のテーマに大きく寄与する部分でもあったので、一番画面上で唐突感のある紫という色にしてみました。塗り方も悩んだ挙句、各傘面を塗ってから真ん中の色を抜く手段を使いました。取っ手や柄はシンプルに明るい部分と暗い部分に分けて塗りました。

傘の塗りはもっと水を多めにして透明感のある塗り方にすればよかったと反省。若干遠景を強く塗りすぎたのもあって、それに引っ張られた感があります。
あとついでに右の女性の口も塗っています。

紫は元々セットに入っているやつ(左)と青と赤から作ったやつ(右)の2種類を試しました。混色すると色の変化を付けやすいですが混ぜれば混ぜるほどくすんだ感じになるので、透明感を出したいならセットの色をそのまま使うくらいでも良いと思います。

13.完成

てな感じで塗りは終了です。



あとはデジタルに突っ込んで適当に補正を掛ければ最初に貼ったような完成系になります。
1日目は構図を決めて下書き→線画→下塗りまで、2日目で残りをやりました。合計10時間くらいだと思います。
上手くいった部分もあれば反省点も沢山あって自分自身、色々と勉強になりました。今後練習を重ねていけば色々な技法を使えるようになると思います。特に今回はせっかく雪景色なのにマスキングとかを一切使わなかったので次回以降試してみたいと思います。

水彩は使う道具が多いので始めるまでは腰が重いですが、実際やってみると結構楽しいです。それにデジタルでやった事はアナログで活きてきますし、逆にアナログでやった事はデジタルで活かせます。学部生の皆さんも是非やってみてください。

それではまたお会いしましょう。

2 件のコメント:

  1. はぇーすっごい綺麗

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  2. 女の子がかわいい(小並感)
    塗りに関しては、特に画面左側の雪のような透明感溢れる部分が透明水彩らしくて素敵だと思います。

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